一瞬の記憶。そのとき見た色を再現する、色補正の話

一瞬の記憶。そのとき見た色を再現する、色補正の話

球場で撮影時の大きな悩み。
フェンスの色がかぶること。

カメラ席のある球場ならその日の天気で色温度を決めたらほぼ目で見たとおりの色になります。
ですが、スタンドからの撮影ですとフェンスの色に影響を受けます。白っぽかったり、緑、茶色(赤みがでる)、青……自分の目で見た色と写った色が異なってしまいます。

人間の目(脳?)はとても優秀。暗いところは明るく補正したり色かぶりも構わずに見ることができます。すごいですよね。
カメラは値段が高くて性能がよくても人間の目で見ているようには写らないのです。

フェンスに黒いテープが貼ってあったり、黒く塗られているのを見たことはあるでしょうか。色かぶりや反射を抑えるために写真を撮る誰かがした跡です(テープを貼ったら帰りにきちんとはがしましょう。塗るのは論外です)。

色の好みは撮り手によりけりで面白いところですが、私は「そのとき自分の目で見た色」を残したい、再現したいと考えています。

春は春の、夏は夏の、秋は秋の色があります。
日差しの強い日なのか、曇天の雨なのか、天気によっても色は変わります。
色やコントラストも胸に刻まれた思い出、記憶の一つなので可能な限り再現したいんです。

撮影時に色を近づけるよう努力しても、色被りまではなかなか拭いきれません。
必ず1枚1枚パソコンで確認。色とコントラストを調整しています。
撮って終わりではない。ここまでしてようやくみなさんに見ていただける1枚に仕上がります。

フェンスやネットが黒ならほぼ影響は受けません(光が反射するので多少は出る)。もしくはやや白いくらいなら補正は簡単。明るさの調整で済むことがほとんどだからです。
問題は白、黒以外の色かぶりがあること。

最近では改修されきれいになった千葉県野球場(通称:天台)の青いフェンス。色かぶりがひどすぎて撮っていて悲しくなるほどです。

以前は撮影の段階で青を取ってやろうと色温度とカラー調整をカメラで行っていたのですが、日差しが少し変わると色も変わるのでやめました。天気に合わせてベースの色温度だけ決め、後処理で対応しています。

色温度は太陽マーク(5200K)か5500Kで撮ることが多いです。曇りの時は5500Kがちょうどよく、曇りマーク(6000K)だと黄色が少し出ます。

天台で撮影した写真を補正したものを並べてみましょう。

補正前:撮ったままの状態(カメラの色温度は5500K・天気はくもり)
補正後:トリミング、色補正済み(photoshop使用)

補正前
補正後

いかがでしょうか。
撮影時のフェンスの色(青のフィルターをかけたような感じ)はこんなに出るんです。日差しが強いとフェンスの反射が強くなるためもっと出ます。

色を整えるときは肌、ユニフォーム、グラウンドの土の色を主に見ます。撮影時の記憶を引っ張り出し、色の濃さやコントラストも近づけます。

画像を見る端末によっても色の出方は変わります。そこまではフォローできないのですが、一応カラー調整が済んでいるモニターやパソコンで処理をして実際の色に近づけています。

だいたい1試合1000枚くらい撮ってるので、そこから使いたい写真を選び、スコアを見ながら写真説明を加えるだけで一苦労なのに色補正で余計に時間を取らてしまいます。

photoshopのレベル補正を使っています。「自動補正」ですと時間短縮ができます。
いったん自動補正をかけてみて、納得できる色になっていれば明るさを追加で補正。ただ自動補正も「違うな……」というときが多々あるんです。その場合はRGB(赤・緑・青)のチャンネルひとつずつ色を補正しています。

大切な一瞬を切り取った1枚
納得いく形で残したいので可能な限り、できることはする


色の印象はとても強いので、手は抜けないのです。

補正をしていて「色補正のこと、書いて置いたら誰かの参考になるかも」と、今回は色補正の話をしました。明るさを整えてあげるだけでも写真は見違えます。スマホのアプリでも手軽に補正できる時代。自分の好みの色を探すのも面白いと思います!

補正に使用しているのはphotoshop elementsです。
購入したのは2018年でした。確か19800円くらい。
elementsで私は機能十分。
2023年版が出ています。5年経ってるしそろそろ入れ替えたほうがいいかなー。

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