写真を1枚しか選べないとしたら

写真を1枚しか選べないとしたら

※noteで執筆した記事を移行しました
※投稿日時は当時のものです

いまsnsなど、たくさん写真を発表する場があります。
自分がよく撮れたものは枚数の制限なく載せることが可能です。

しかし、もし写真「たった1枚」でしか表現できないとき。
「ベストな1枚」はどう選びますか?

たくさんのお気に入りから1番をどう決めますか?

仕事の場面だとその1枚を選ぶことも「かっこいいと思った写真を選ぶだけっていう、簡単な話ではないんだな」と感じたことが多々ありました。

今回は私の大切な、雑誌の仕事でのことを書いてみようと思います。

写真を選ぶのは撮ることの何倍も難しい作業

選び方は自分の作品を発表する時も、雑誌編集の仕事でも基本同じです。
ただ、自分で撮り、自分で選び、自分が発信するだけなら、何も難しいことはありません。撮るときからある程度イメージが固まっていたり、撮影時に心が動いた瞬間は自分でわかるからです。

難しいのは誰かが関わっているときです。
雑誌の仕事では別のカメラマンさんが撮り、私が選び、編集部に渡す、の流れが多いのですが、どうしてもみなさんの気持ちが入り混じってややこしくやることがあります。

「ややこしさ」を解消し、よりよい1枚を選ぶためにはどうしていけばいいのか、

ベストな1枚、私ならこう選ぶ

たとえば、野球の雑誌である選手を取り上げるとします。

1ページで大きく、写真は裁ち落とし*て使います。
*裁ち落とし:ページの端まで余白を作らず写真を配置すること

まだあまり名前が知られておらず、これから注目してほしい選手だと仮定します。
さて、どんな写真を選んだらよいでしょうか。

答えは単純です。

選手の特徴や雰囲気がよくわかる写真

これに尽きると思います。

・速い球を投げるなら、力感のあるフォームや力強い表情
・守備がうまいなら、動きの良さや肩の強さがわかる写真
・打撃が売りなら、バッティングや打席でのしぐさなど
・表情豊かな選手なら笑顔や涙など

しかし、自分で撮影していれば選手を見ているので選ぶのは難しくないですが、人の撮った写真を選ぶ場合、選手の特徴を知らずに写真を選ばなければいけないときは苦労します。そのとき大切にしていることが3つあります。

表情。目に力があるか。
フォームや動き。体に力が入っているか。
臨場感や躍動感。

写真を見た第一印象で「これがいいな」というのは決まることが多いです。
決める前に念のため、担当の記者さんなどに何が売りの選手なのか聞いておきます。

自分の感覚も大切に

選手の特徴は撮影する前に聞いておき、意識しておくと撮るときの見え方が全然違いますし、撮る側にも余裕が生まれます。

ただ、人から聞いたことだけにならないよう、視野を広く、自分でもよく選手を観察し、実際に見て感じた「選手のいいところ」も撮れるとよりよいと思います。

選ぶ際には細かい条件もあり

他の選手と写真が似ないように(ページが続く時はなおさら)
顔の向き、目線。左右どちらのページに置くか
文字(原稿)を入れる余白

ざっと上げてもこれだけあります。
ページをめくっていったとき、写真が単調にならないよう気をつけています。

誌面でまず目に飛び込んでくるのは写真

誌面には見出しを始め、いろいろな装飾もされますが、やはり写真で選手の良さがストレートに伝わるのが一番いいなと思っています。

だから可能な限りその選手がどんな選手なのかわかるような1枚を選ぶことを心がけています。しかしながら冒頭で書いたように、そう簡単にいかないこともあるのです。

こだわりは捨て、シンプルに写真の良さを見る

私が担当している雑誌の仕事ですと撮影者がいて(自分が撮る場合もあり)、写真を選ぶ私がおり、担当記者さんが記事を書き、写真を確認する編集部の方々がいます。

あちこちから様々な要望があります。
最大限考慮しますが、すべてに都合がよい写真なんてありません。まれに「それは写真の良さを消してしまうのでは……」といった要望もあったりします(つらい)。

要望に応えると、力感も表情も乏しい写真になってしまう場合などは特に悩ましいです。
そうしてまで変える必要ありますか?その「こだわり」は必要でしょうか?と疑問に思うわけです。

もちろん、要望をいただくことで気が付くこともあります。私の知らない、選手にまつわるエピソードなどを知ったときは変更にも柔軟に対応しますし、教えてくださってありがたいと思っています。

私が写真を選ぶ際の基準も「こだわり」と言ってしまえばそれまでですが、写真を選ぶことを任されている以上、写真の良さが消えてしまうようなときは簡単に受け入れることはできません。感じたことははっきりとお伝えしなければいけないと考えています。
なかなか難しいことですが、編集部で意見を言える人の中でカメラマンは私しかいないので、全カメラマンの声を代弁するつもりいます。

「こだわり」はもちすぎると苦しく、窮屈になります。

最優先事項は選手の良さを伝えること。
記事の内容はもちろんのこと、ひとめでわかる写真の力は大きいと感じるからです。

雑誌の良さは「写真が大きく見れること」

私は、写真に特徴がなければ記事を読まないかもしれません。
よほど惹かれる見出しがあれば別ですが、読んだとしても「写真、他になかったのかな」そう思ってしまいます。あくまで主観です。

これは雑誌だからで、ウェブならまた違うと思います。

雑誌はスマホの画面で見る何倍も大きく写真を見ることができます。だからこそ、写真の担う役割は大きく、重要だと考えています。

まとめ

自分の発信では、自分の活動のことがほとんどで、仕事のことを話すことはほぼありません。
今回仕事での話をベースに「写真の選び方」について書いたのは、自分自身がずっと苦手で課題としてきたことだったので、ひとつ答えにたどり着けたということ。そして、もしかしたらこの経験が誰かのヒントになるかもしれない。そんな思いもありました。

撮るときも選ぶ時も同じです。
ある程度の情報はあったほうがよく、エピソードやバックボーンは頭に入れながら、あとは自分がその場で感じたままに動く。
もし情報がなく迷ったら、選手をしっかり観察して見えたこと、感じたこと、自分の中から湧き上がるものを大切する。

「選手の良さを伝える1枚」

究極にシンプルな選び方です。
多くの情報やたくさんの意見で大切なものを見失わないように、これからもここだけはブレずにありたいと思っています。

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